【採用担当の本音】「転職」と「転職活動」の違い|まだ決めていなくても、動いていい理由

転職の始め方

「転職」と「転職活動」。同じようで、実はまったく違います。

こんにちは、採用に関わる仕事を10年ほどしている、はれまです。

この違いを知るだけで、転職への一歩がぐっと軽くなります。今日はそこをやさしく解説します。

寝る前にベッドの中で転職サイトを眺めたけど、

実際何から手をつければいいのか分からなくて

そのまま翌朝を迎えてまた会社に行く……

という生活を繰り返していませんか。

そんなときは、まず「転職」と「転職活動」に

問題を切り分けて考えてみることをおすすめします。

転職と転職活動の違いを示した図。転職活動はリスクがなく、決断が必要なのは最後の一歩だけ
転職活動をしても、「今の会社に残る」を選べます

「転職」にはリスクがあるけど、「転職活動」にはリスクがない

そもそも、「転職」とは

「転職」とは、今の会社を辞めて、別の会社や組織に雇用されることです。

言い換えれば、「今の会社との雇用関係を終了し、別の会社と新たな雇用関係を結ぶこと」になります。

つまり、

・給与や福利厚生、勤務地などの労働条件が変わる
・所属する組織や文化、人間関係が一新される
・職種や仕事内容が変わる可能性がある

といったように、生活やキャリアに大きな変化が伴う「意思決定」と言えます。

一方、「転職活動」とは

「転職活動」とは、会社を辞めることを意味するものではありません。

あくまで自分の選択肢を知り、可能性を広げるための情報収集・準備のプロセスです。

具体的には、

・自分の市場価値を知るために、求人サイトやエージェントに登録する
・他社の募集要項や労働条件を比較する
・キャリアの棚卸しを行い、職務経歴書をつくる
・転職の専門家に相談する
・面接を受けてみて、社会的な評価を確認する

といった行動を含みます。

ポイントは、「転職活動をしたからといって、必ず転職しなければならないわけではない」ということ。

並べてみると、こうなります

転職転職活動
何をすること会社を辞めて、別の会社に入る選択肢を知り、準備する
決断が要るか要る(大きな意思決定)要らない
後戻りできるかしにくいいつでもやめられる
生活が変わるか変わる変わらない

「転職」にはリスクがある。でも、「転職活動」にはリスクがない。

まずは考え方を変えて、行動しやすい状況をつくっていきましょう。

「情報収集で受けました」は、迷惑ではありません

とはいえ、こう思う方は多いと思います。

「まだ決めていないのに応募したら、失礼じゃないだろうか」

ここからは、受け取る側の話をします。

まず、事実として——スカウト型のサービスには、プロフィール欄に「情報収集のために登録しています」とはっきり書いている方がいます。珍しくありません。

では、それを見た採用担当がどう思うか。

私は、まったく迷惑だと思いません。

むしろ、正直に言うと、少し燃えます。

「それなら、うちに来たくなってもらおう」
「受けたいと言わせてみせよう」

そんなスイッチが入ることがあります。われながら変な話ですが、これが本音です。

理由はもうひとつあって、仮に応募につながらなかったとしても、こちらには得るものがあるからです。

「こういうキャリアの方が、いま市場にいるんだな」
「こういう条件を求める方がいるんだな」

そういう情報が入ってくるだけでも、採用する側にとってはマイナスではありません。

だから、遠慮しなくて大丈夫です。

ちなみに、本気度は分かるのか

「本気じゃないのがバレたらどうしよう」と心配される方もいると思います。

正直に書くと、分かるのは、ご本人が教えてくれたときだけです。

プロフィールに書いてある。面談で「実は情報収集で」と話してくれる。そういう場合は、当然こちらも分かります。

でも、言われなければ、察して分かることのほうが少ないと思います。

つまり、隠すこともできる。でも——隠さなくても、困ることはありません。

情報収集の段階でも、内定が出ることはあります

これも書いておきます。

本当に「この方に来てほしい」と思えば、情報収集の段階の方にも内定を出します。十分にあり得ることです。

私の仕事は、そういう方を入社まで導いて、活躍してもらうことだと思っています。

「まだ決めていないから」という理由でこちらが引くことは、ありません。

ただし、情報収集がしやすい入口と、そうでない入口があります

ここは実用的な話です。

同じ「転職活動」でも、入口によって、気軽さがまったく違います。

エージェント経由の場合、「情報収集のために受けてみたい」とは言いにくいと思います。

エージェントの方は、応募する前提で企業を紹介してくれます。その流れの中で「実はまだ迷っていて」とは、切り出しづらいはずです。

一方、スカウト型のサービスは、情報収集と相性が良いです。

自分のプロフィールを登録しておくだけで、企業のほうから声がかかる。そこから話を聞くだけ、という進み方ができます。選考に入る前に、まず話を聞く場が用意されていることもあります。

まだ決めていない段階なら、スカウト型から入るほうがラクだと思います。

このあたりの「話を聞くだけの場」については、この記事の最後で紹介します。

「まだ迷っています」と言われたら

面接や面談で、正直に「まだ迷っています」と言われることがあります。

そのとき私は、まず何に迷っているのかを聞きます。迷いには、2種類あるからです。

何に迷っているか私にできること
転職そのものをするかどうかいくらでも相談に乗る
どの会社にするか実際に一緒に働く人と話す場を作る

「転職するかどうか自体を迷っている」なら、その相談にはいくらでも乗ります。

「転職はするけれど、どの会社にするかを決めかねている」なら、話は早い。実際に一緒に働くことになる人と、話す時間をつくります。

条件を並べても決まらないことは、人と会うと決まったりするものです。

いずれにしても——迷うのは当然です。

大きな決断なんですから、迷わないほうがおかしい。

だから、迷っていることを隠さなくていい。何か背中を押せる協力ができるなら、したいと思っています。

じゃあ、転職活動って何から始めるの?

「気軽に始めていい」と言われても、では具体的に何から手をつければいいのか。

ここが一番迷うところだと思います。

結論から言うと、求人に応募することからは始めません。

最初にやるのは、自分のキャリアの棚卸しです。

キャリアの棚卸しの手順を示した図。応募から始めず、紙に書き出す、誰かと話す、職務経歴書にする、の順で進める
辞める決断とは関係なく、今日から始められます

私がやったのは、ノートに手書きでした

少しだけ、自分の話をさせてください。

私が転職活動をしたころは、履歴書も職務経歴書も手書きでした。

最後の一文で書き損じると最初から書き直しになるので、何十枚も書いた記憶があります。

それもあって、私はまずノートに自分のキャリアを手書きで書き出して、整理することから始めました。

これまで何をやってきたのか、何ができるのか。とにかく紙に出す。

この方法は、今でも有効だと思います。ただ——

一人でやるより、誰かと話しながらのほうが早い

正直に言うと、一人で書き出すより、誰かと壁打ちしながら進めたほうが早いです。

理由は2つあります。

ひとつは、単純にスピードです。

書いては消してを一人で繰り返すより、話しながら整理していくほうが、圧倒的に速い。

もうひとつのほうが大事です。

自分では分からない強みや弱み、自分の特徴や性質に気づける可能性が高いからです。

当たり前にやってきたことほど、自分では価値が見えません。

人に話して初めて「それ、珍しいことですよ」と言われる、ということが本当にあります。

私自身も、当時は地域に密着したエージェントに登録して、実際に会って面談をしました。

今思えば、あれがキャリアの棚卸しの場でした。

「AIで壁打ちすればいい」については

こう思う方もいると思います。「今ならAIに相手をしてもらえばいいのでは」と。

それも、ひとつの方法だと思います。実際、手軽です。

ただ私は、相手が人間のほうが、より深く掘れると感じています。

話の途中で言いよどんだところを拾ってもらえたり、こちらが流そうとしたことを「そこ、もう少し聞かせてください」と止めてもらえたり。

そういう掘り下げは、人と話すからこそ起きるものだと思うんです。

まずは、棚卸しから

転職エージェントとの面談は、この「棚卸しの場」として使えます。

求人を紹介してもらう場だと思われがちですが、その前の段階——自分の経験を言葉にして整理する——のために使うほうが、結果的に近道になると思います。

もうひとつ、見ておいてほしいこと

情報収集の段階だからこそ、見ておいてほしいものがあります。

ひとつは、仕事内容の「中身」

求人票の職種名だけを見て判断しないでください。

たとえば「営業職」ひとつ取っても、会社によって中身がまったく違います。

・提案することを営業と呼ぶ会社
・御用聞きを営業と呼ぶ会社
・配達まで含めて営業と呼ぶ会社
・受注を取るところまでが営業、という会社

同じ「営業」でも、やることが違えば、まったく別の仕事です。

だから、仕事内容はしっかり確認したほうがいい。ここは遠慮せずに聞いてください。

もうひとつは、組織の文化

複数の会社を経験すると分かりますが、会社によって文化はまったく違います。

面接という短い時間で見極めるのは、正直かんたんではありません。それでも、見極めようと意識して臨むこと自体が、とても大事です。

ひとつ、おすすめの聞き方があります。

「いま社内で進めていることや、課題になっていることはありますか」
「それは、どのくらい進んでいますか」

この答え方に、その会社の文化が出ます。

たとえば、物事が進むスピード。決め方。誰が判断しているか。そういうものが、進捗の話し方から見えてきます。

そして大事なのは、そこで見えたものを、良い悪いで判断しないことです。

「決めるのが遅い会社だ」と感じたとしても、それは「慎重に進める会社」ということでもあります。

どちらが良いかではなく、それが自分に合うかどうか。そこで判断してください。

転職は、タイミングです

最後に、ひとつだけ。

「まだ動く時期じゃないから、準備は後でいい」と思っている方がいるかもしれません。

でも、転職はタイミングだと思います。

いい求人が出るタイミング、会社が人を必要とするタイミング、自分の気持ちが固まるタイミング。これらは自分では選べません。

そして、その3つが重なったときに準備ができていないと、間に合いません。

だから、できることは早めに進めておいたほうがいい。

棚卸しをしておく。職務経歴書を用意しておく。話を聞ける相手を見つけておく。

どれも、辞める決断とは関係なくできることです。

まとめ

・「転職」は意思決定。リスクがある
・「転職活動」は情報収集と準備。リスクはない
・「情報収集で受けています」は、迷惑ではない。むしろ来てほしくなる
・本気度は、自分から言わなければ、察して分かることのほうが少ない
・情報収集の段階でも、本当に必要な方には内定を出す
・エージェント経由は情報収集がしにくい。まだ迷う段階ならスカウト型のほうがラク
・「迷っています」は隠さなくていい。何に迷っているかで、できることが変わる
・始めるなら、応募からではなく、キャリアの棚卸しから
・一人で書き出すより、誰かと話したほうが早いし深い
・職種名でなく仕事の中身を見る。進捗の話し方から組織の文化が見える
・転職はタイミング。できる準備は早めに

転職しようかどうか、まだ決まっていなくていいんです。

決めていない人が動くことを、受け取る側は歓迎しています。

まずは、自分が何をやってきたのかを言葉にするところから始めてみてください。

自分の経験をどう言葉にするかについては、こちらで詳しく書いています。

なお、本文で触れた「選考に入る前に話を聞く場」——いわゆるカジュアル面談については、別の記事に詳しく書きました。

選考なのかどうか、落ちることはあるのかまで、正直にお話ししています。

エージェントとの付き合い方については、採用する側から見た本音を別の記事に書きました。

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