【採用担当の本音】面接で他社の選考状況を聞かれる理由|その答えを採用側はどう使うのか

採用の裏側

「他に、どこか受けていますか」

面接の終盤で、こう聞かれた経験はないでしょうか。

こんにちは、採用に関わる仕事を10年ほどしている、はれまです。

この質問、正直に答えていいのか迷いますよね。

調べてみると、「率直に答えましょう」「2社から5社くらいが無難です」といった答え方のコツが、たくさん出てきます。

ただ、そのほとんどは「どう答えるか」の話です。

答えたあと、聞いた側がその情報をどう使っているのか。

そこまで書かれているものは、あまり見かけません。

今日は、そこをお話しします。

前提:私は、100パーセント聞いています

まず、身も蓋もない前提から。

私は、他社の選考状況を100パーセント確認しています。

聞かれるかもしれない質問、ではありません。必ず聞く質問です。

ただ、聞くタイミングは決めていません。

「確認する」ということだけ決めておいて、実際に出すのは会話の流れの中です。

こちらから聞く前に、ご本人から話してくださることもあります。

「今、こういう会社の選考が始まっていまして」
「実は、御社しか受けていないんです」

そういう場合は、そこから深掘りしていきます。

流れの中で出てこなかったときは、面接の中盤から後半にかけて確認することが多いです。どちらかといえば、後半かもしれません。

つまり、準備しておけば必ず出番がある質問、ということです。

何社受けているか、その数は気にしていません

答え方の記事を読むと、「多すぎると志望度が低いと思われる」「2社から5社くらいが無難」といった目安が書かれています。

私の実感を正直に書くと、数そのものは、あまり気にしていません。

聞きながら数を数えている、ということはないです。

10社と言われても、2社と言われても、そこで印象が決まることはありません。

なので、「多すぎると思われないだろうか」と心配して、数を調整する必要はないと思います。

気になるのは、数ではなく別のところです。

企業名を言うかどうかも、正直どちらでもいい

もうひとつ、よく心配されるのが「会社名まで答えるべきか」という点です。

これも、実感を書きます。

企業名まで答える方は、ほとんどいません。

業界だけを答える方もいれば、「こういう働き方ができる会社を」と条件で答える方もいます。

結論として、何を答えても気になりません。

……ただ、ひとつだけ、正直に書いておきます。

会社名をはっきり答える方に対しては、こう思ってしまうことがあります。

「この方は、他社の面接でも、うちの会社名を出しているのかもしれないな」

深い意味はありません。それで減点することもありません。

でも、頭をよぎることはある。それくらいのことです。

答えづらければ、業界や条件で答えて構わないと思います。

ここからが本題:聞いたあと、採用側は何をしているのか

さて、ここからが今日の中心です。

聞いた情報を、採用側はどうしているのか。

「この方を採用したい」と強く思った場合、他社の選考に合わせて動くことがあります。

動き方は、2つあります。

ひとつは、前倒しする

他社の選考が先に進んでいるなら、こちらの選考を早める方向を検討します。

先に決まってしまっては、そもそも選んでいただけないからです。

これは、想像しやすいと思います。

もうひとつは、あえて遅らせる

こちらは、あまり知られていないかもしれません。

うちの選考だけが極端に先行してしまっているとき、あえてペースを落とすことがあります。

理由は、比較対象がないからです。

こちらが一番手で内定を出しても、ご本人からすれば「他と比べようがない」状態になってしまう。

それで承諾していただいても、あとから「やっぱり他も見ておけばよかった」となるかもしれない。

だったら、他社の選考も進んだ状態で、複数の選択肢の中から選んでいただいたほうがいい。

そう考えて、こちらのペースを調整することがあります。

もちろん、期限を短くしてでも先に決めてもらうべきだ、という考え方もあります。

どちらが正解かは、正直、難しいところです。

ただ私は、そのご本人の考え方に寄り添うほうがいいと思っています。

ここでお伝えしたいのは、選考の連絡が遅いことが、必ずしも悪いサインではないということです。

「返事が遅い=脈がない」と思い込んでしまう方は多いのですが、こういう事情が動いていることもあります。

連絡が遅くなる理由は、ほかにもあります。こちらに書きました。

【採用担当が解説】転職の選考結果が遅いのはなぜ?「中途採用=1名募集」の裏側

ただし、正直に言うと、何も動かせないことのほうが多いです

期待を持たせるだけでは不誠実なので、こちらも書いておきます。

実際には、聞いても特に何も変わらない。そういうことのほうが多いです。

会社によって考え方はいろいろあると思いますが、私のところの話をします。

私は一次面接を担当しています。

そして、一次面接で私と現場が「ぜひ採りたい」となった時点で、内定を出すことはほぼ決まっています。

二次面接は、選考というよりも、確認の意味合いが強い。

つまり、実質的な山場は一次面接なんです。

そうなると、他社の選考状況をうかがって「少し前倒ししようか」と思っても、二次面接に出る役員の日程調整が難しくて、結局は何も動かせなかった、ということが普通に起こります。

だから、こうまとめられると思います。

・答えた内容が、選考のスピードに影響することはある
・ただし、期待しすぎないほうがいい
・そして何より、一番大事なのは一次面接そのもの

他社の選考状況をうまく答えることより、目の前の面接に集中したほうが、間違いなく効果は大きいです。

「御社しか受けていません」と言われたとき

ここは、正直に書かせてください。

「御社しか受けていません」と言われると、こう思ってしまうことがあります。

「本当だろうか」
「転職を、本気で考えていらっしゃるのだろうか」

一社に絞るというのは、それだけ強い覚悟だとも言えます。

でも同時に、転職活動として自然な動きではないな、とも感じてしまう。

このあたりは、別の記事でも書きました。「他に受けていません」を強調されると、かえって心配になってしまう、という話です。

【採用担当の本音】40代の面接で落ちるのは、焦りが伝わったとき

「第一志望です」は、嘘でもそう言ってほしい

少し矛盾するようなことを書きます。

「御社が第一志望です」

これについては、正直なところ、嘘でもそう答えてほしいと思っています。

もちろん、本当に第一志望かどうかは分かりません。面接の場でそう言うのが定型だということも、こちらは知っています。

それでも、そう言っていただけない——「まだ決めかねています」「どちらとも言えません」と返ってくると、こう思ってしまうんです。

では、なぜ今日ここに来てくださったのだろう、と。

これは、誠実さの問題ではないと思っています。

面接という場での、礼儀のようなものに近い。

それでも、経歴の嘘は、いつかバレます

いまの話と、はっきり線を引いておきたいことがあります。

経歴やスキルについての嘘は、別です。

よく「嘘はバレます」と言われますが、私の実感としては、少し違います。

正確に言うなら、嘘は「いつか」バレます。

面接の場では、取り繕って乗り切れてしまうことが、実際にあります。その場では分からない。

でも、その後の面接や、入社してからの言動で、必ず出てきます。

そして、これがお互いにとって一番よくないパターンです。

会社は「話が違う」となり、ご本人は期待に応えられずに苦しくなる。

誰も得をしません。

だから、線引きはこうだと思っています。

・経歴やスキル=事実。ここは正直に
・選考状況=進行中の情報。聞かれた範囲で答えれば十分
・「第一志望です」=場の礼儀。そう言ってしまっていい

経歴の伝え方については、こちらに書きました。

【採用担当の本音】職務経歴書に「不利なこと」を正直に書ける人は強い|休職・ブランクの伝え方

まとめ

・他社の選考状況は、私の場合100パーセント確認する。必ず出る質問
・聞くタイミングは決めていない。中盤から後半が多い
・何社受けているか、その数は数えていない
・企業名を言うかどうかも、どちらでもいい
・答えを聞いて、選考を前倒しすることがある
・逆に、比較検討してもらうために、あえて遅らせることもある
・ただし実際には、何も動かせないことのほうが多い
・私のところでは、実質的な山場は一次面接
・「御社しか受けていません」は、かえって心配になることがある
・「第一志望です」は、嘘でもそう言ってほしい
・でも、経歴やスキルの嘘は、いつか必ずバレる

他社の選考状況をどう答えるかは、テクニックとして語られがちです。

でも、聞いている側からすると、その答え方で評価が大きく変わることは、ほとんどありません。

それよりも、目の前の面接で、自分の言葉で話せるかどうか。

そちらのほうが、何倍も結果に効いてきます。

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